【緊急特集】日経平均5万9332円→5万3610円 史上最高値からの急落、何が起きたのか

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【緊急特集】日経平均5万9332円→5万3610円 史上最高値からの急落、何が起きたのか

2026年3月3日 20:20 配信 — ai-nikkeichan.com

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わずか5営業日で6,000円近い暴落

2月26日、日経平均株価は取引時間中に5万9332円の史上最高値を記録した。半導体ブームと円安の追い風を受け、市場には「6万円到達は時間の問題」との楽観論が渦巻いていた。

しかし、そのわずか5営業日後の3月3日、日経平均は5万3610円で取引を終えた。今年最大の下げ幅を記録。東証プライム市場の約9割の銘柄が下落する全面安の展開となった。

最高値からの下落幅は5722円、率にして9.6%。この急落の背景には、地政学リスクの急激な高まりがあった。

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時系列で振り返る急落の全容

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2月24日〜27日:最高値更新の高揚感

3連休明けの24日から日経平均は急騰を開始した。米半導体大手NVIDIAが好決算を発表するとの期待が追い風となり、アドバンテストやファーストリテイリングを中心に買いが膨らんだ。

さらに高市早苗首相が日銀の植田和男総裁との会談で利上げに難色を示したとの報道や、金融緩和に積極的な日銀審議委員の人事案が伝わると、ドル円相場は156円台後半まで円安が進行。海外収益の拡大期待から日経平均は3日連続で最高値を更新し、27日の終値は5万8850円を記録した。

週間では2024円高という記録的な上昇幅だった。全225銘柄の86%にあたる193銘柄が週次で値上がりするという、まさに総楽観の相場だった。

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2月28日:転機 — 米国・イスラエルによるイラン攻撃

日本時間2月28日午後、米国とイスラエルがイラン全土を標的とした大規模攻撃「Operation Epic Fury」を開始した。首都テヘランを含む複数拠点への空爆が実施された。

この時点でWTI原油先物は既に67ドル台まで上昇していたが、攻撃開始後にさらに急騰。北海ブレント原油は一時82ドルを付け、4年ぶりの大幅上昇となった。

3月1日:ホルムズ海峡「事実上の封鎖」

トランプ大統領は自身のSNS「トゥルースソーシャル」でイランの最高指導者ハメネイ師の死亡を表明(イラン側は否定)。イラン革命防衛隊はホルムズ海峡付近の船舶に対して通過禁止を通告した。

イラン革命防衛隊はタンカー3隻を攻撃したとも報じられ、日本郵船や川崎汽船など国内大手海運会社も海峡の通峡を停止。ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態に陥った。

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3月2日:日経平均、最初の急落

週明けの東京市場は売りが先行。日経平均は終値で793円安となった。イラン攻撃による地政学リスクの織り込みが始まった。

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3月3日:パニック売り、終値5万3610円

中東情勢の悪化が収束する兆しを見せない中、3日の東京市場ではリスク回避の売りが加速した。

寄り付きから大幅安で始まり、前日の取引時間中安値(5万7285円)をあっさり割り込むと投げ売りに拍車がかかった。前週までの上昇相場で先物に買いを入れていた投機筋の持ち高解消が重なり、下げ幅は拡大の一途をたどった。結局、終値は5万3610円と最高値からわずか5営業日で5700円超を消し飛ばした。

韓国KOSPIが一時6%安、上海総合指数も1%安となるなど、アジア市場全体がリスクオフに覆われた。

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なぜこれほど急落したのか — 3つの構造的要因

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1. ホルムズ海峡封鎖と原油高の日本経済への直撃

日本は原油輸入の94%を中東地域に依存しており、そのタンカーの8割がホルムズ海峡を通過する。海峡の事実上封鎖は、日本経済のエネルギー供給を根幹から揺るがす事態である。

野村総合研究所の試算では、ホルムズ海峡封鎖が長期化した場合、原油価格は90ドル超、最悪のケースでは140ドルまで急騰する可能性がある。日本総研は中東からの化石燃料輸入が全面的に途絶した場合、GDPが3%下押しされるリスクを指摘している。

原油高はガソリン価格の上昇にとどまらず、物流コスト、電気・ガス料金、製造業のコスト増を通じて企業収益を圧迫する。スタグフレーション(高インフレと低成長の併存)が現実味を帯びてきた。

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2. 過熱相場の反動

2月26日時点での日経平均の予想PER(株価収益率)は24.5倍に達していた。2023年以降の最大値24.9倍に肉薄する水準であり、割高感は限界に近づいていた。

テクニカルアナリストの伊藤智洋氏は「5万9332円が戻り高値となり、昨年11月の調整局面と同程度の4400円幅の調整に入った可能性がある」と指摘している。総楽観の中で積み上がったロングポジションが、地政学リスクをきっかけに一気に巻き戻された格好だ。

3. 複合リスクの重なり

イラン情勢だけではない。英住宅ローン会社の破綻など金融市場の不安材料も加わり、投資家のリスク回避姿勢を強めた。SMBC信託銀行の山口真弘投資調査部長は「金融市場の不安材料が増えており、投資家は当面のリスクをとりづらくなっている」と指摘している。

さらに今週は米国で6日の雇用統計、4日のブロードコム決算など重要イベントが控えており、先行き不透明感が一段と強い。

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原油市場の現状と見通し

北海ブレント原油はイラン攻撃前日の2月27日時点で1バレル73ドルだったが、3月1日には78ドルまで急騰。一時82ドルを付ける場面もあった。

ホルムズ海峡を経由する原油・コンデンセートは日量約1650万バレル。世界の原油供給の約2割を占める。サウジアラビアやUAEにはパイプラインによる迂回ルートが存在するものの、輸送能力に限界がある。特にLNG(液化天然ガス)には代替ルートがほぼ存在せず、世界最大級のLNG輸出国カタールからの供給が途絶するリスクがある。

アジアのLNG価格は既に40%超の急騰を記録している。

OPECプラスは大幅増産を検討していると報じられているが、ホルムズ海峡周辺の戦火が続く限り、実効性は限定的と見られる。

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今後の注目ポイント

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短期(今週中)

  • イラン情勢の推移とホルムズ海峡の航行再開の見通し
  • 原油価格の動向(90ドル超えなら追加下落リスク)
  • 3月4日:ブロードコム決算(半導体セクターの方向性)
  • 3月6日:米雇用統計
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中期(今月中)

  • OPECプラスの増産対応の実効性
  • 日本政府の石油備蓄放出の判断(現在254日分を備蓄)
  • 日銀の金融政策への影響(原油高によるインフレ加速 vs 景気下押し)
  • 長期金利の動向(3月3日に一時2.125%まで上昇)

テクニカル水準

  • 伊藤智洋氏の分析:2月26日高値5万9332円が戻り高値なら、4400円幅の調整で5万4900円付近が下値目処
  • 5万4900円の下値目処を既に割り込んでおり、次の節目は5万2000円〜5万3000円水準

本記事はニッケイちゃんAIライブ(YouTube Live)の配信コンテンツとして作成されました。
出典:日本経済新聞、Bloomberg、ロイター、野村総合研究所、日本総研、中東調査会、IG証券

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