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リスクオン・リスクオフとは?お金の流れでわかる市場ムードの読み方

「今日はリスクオンで株高・円安」「リスクオフムードが強まり、円が買われた」——マーケットのニュースで、必ずと言っていいほど登場するのが「リスクオン」「リスクオフ」という言葉です。これは、市場全体の“気分”を表す、相場を読むうえでとても便利な物差しです。この言葉の意味と、お金がどこへ向かうのかを理解すると、株・為替・金(ゴールド)といったバラバラに見える値動きが、一本の流れとしてつながって見えてきます。

この記事では、リスクオン・リスクオフの意味から、地合いの読み方、そして知っておくと便利な相場用語まで、やさしく解説します。シリーズの締めくくりとして、これまでの内容を束ねる回でもあります。

① リスクオン・リスクオフとは — 市場の「気分」を表す言葉

ニッケイちゃんの解説「リスクオンは、みんなが強気で“攻め”の気分。リスクオフは、不安が広がって“守り”の気分。市場全体のムードを表す言葉なんだ!

リスクオンとは、市場参加者が強気になり、多少のリスクをとってでも積極的に利益を狙おうとする“攻め”の状態を指します。世界経済が好調なときや、安心材料が出たときに広がるムードです。反対にリスクオフとは、投資家が不安にかられ、リスクを避けて資産を守ろうとする“守り”の状態です。

景気の悪化懸念、金融危機、地政学リスクといった不安材料が出たときに強まります。

ポイントは、これが個別の銘柄の話ではなく、市場全体の“気分”を表している、ということです。リスクオンかリスクオフかによって、世界中のお金が向かう先が、大きく切り替わります。この大きな流れをつかむことが、相場を読む第一歩になります。

では、何がこの気分を切り替えるのでしょうか。きっかけは、これまでの記事で見てきた材料そのものです。良い経済指標や利下げ期待、緊張の緩和はリスクオンを、景気悪化や金融危機、地政学リスクの高まりはリスクオフを呼びます。

同じニュースでも、それが市場の気分を「攻め」と「守り」のどちらに傾けるか、という視点で見ると、相場の反応が読みやすくなります。

② リスク資産と安全資産 — どこにお金が向かうか

ニッケイちゃんの解説「世の中の資産は、ざっくり“リスク資産”と“安全資産”に分けられるんだ。気分によって、お金がどっちに流れるかが変わるんだよ。」

リスクオン・リスクオフを理解するには、資産を大きく2つに分けて考えるとわかりやすくなります。一つは「リスク資産」。値動きは大きいけれど、うまくいけば高いリターンが狙える資産で、株式、高金利通貨、新興国の資産、原油などの商品が含まれます。

もう一つは「安全資産」。リターンは控えめでも、価値が比較的安定しているとされる資産で、先進国の国債、金(ゴールド)、そして日本円やスイスフランなどがこれにあたります。

リスクオンの局面では、お金はリスク資産へと向かいます。みんなが「攻め」に出るので、株や高金利通貨が買われます。逆にリスクオフの局面では、お金は安全資産へと逃げ込みます。

「守り」に入るので、国債や金、円が買われるのです。つまり、市場の気分しだいで、お金は2つの間を行ったり来たりしている、というわけです。

なお、安全資産の代表として米ドルが挙げられることもあります。世界の基軸通貨であるドルは、深刻な危機のときには「とにかく現金(ドル)を確保したい」という動きから買われることがあるのです。このように、何が安全とみなされるかは局面によって変わり、円・金・ドルのうちどれが買われるかは、その危機の性質によっても異なってきます。

③ リスクオンのとき何が起きる — 株高・円安・金利上昇

ニッケイちゃんの解説「リスクオンのときは、株が買われて、円が売られて円安に。覚え方は“攻めのときは、みんなリスク資産へ”だよ!」

リスクオンの局面では、典型的に次のような動きが起こります。まず、リスク資産の代表である株式が買われ、株高になります。為替では、安全資産である円が売られ、より高いリターンを求めて高金利通貨などにお金が向かうため、円安が進みやすくなります。

また、安全資産である国債が売られるため、債券価格は下がり、長期金利は上昇しやすくなります。原油などの商品も、景気の拡大期待から買われやすくなります。

日本株にとっては、このリスクオン局面は追い風です。株高と円安が同時に進めば、輸出企業の採算改善も重なり、日経平均は上昇しやすくなります。ニュースで「リスクオンの株高・円安」と言われたら、世界のお金が攻めの姿勢に傾いている、と読み取りましょう。

たとえば、米国の景気が堅調で、利下げ期待も高まっているような局面では、世界の投資家が安心して株式を買い進め、リスクオンのムードが続きやすくなります。こうした地合いでは、多少の悪材料が出ても押し目買いが入り、相場が下がりにくい、ということも起こります。

④ リスクオフのとき何が起きる — 株安・円高・金(ゴールド)高

ニッケイちゃんの解説「リスクオフは、その逆。株が売られて、円や金が買われるんだ。“守りのときは、みんな安全資産へ”って覚えてね!

リスクオフの局面では、リスクオンとちょうど逆のことが起こります。リスク資産である株式が売られて株安となり、お金は安全資産へと逃げ込みます。為替では、安全資産とされる円が買われて円高が進みます。

これが、暴落の記事や恐怖指数の記事でも触れた「リスクオフの円高」です。国債が買われるため債券価格は上がり、長期金利は低下します。そして、有事に強いとされる金(ゴールド)が買われ、金価格が上昇しやすくなります。

日本株にとって、このリスクオフ局面は逆風です。株安と円高が同時に襲い、輸出企業の採算悪化懸念も加わって、日経平均は下げやすくなります。世界が荒れたときに日本株が大きく揺さぶられやすいのは、このリスクオフの共振が一因です。

「リスクオフの株安・円高」という言葉を聞いたら、世界のお金が守りに入った、と理解しましょう。

2024年8月の令和のブラックマンデーは、このリスクオフが極端な形で表れた例でした。米景気への不安からリスクオフが一気に強まり、株安・円高が共振し、さらにレバレッジの巻き戻しが加わって、歴史的な急落につながったのです。リスクオフの連鎖が暴落を増幅する——その典型と言えます。

⑤ なぜ円や金が「安全」とされるのか

ニッケイちゃんの解説「不思議だよね、なんで日本の円が“安全”なんだろう?ちゃんと理由があるんだ。金(ゴールド)が買われるわけも見てみよう。

なぜ円が安全資産とされるのか。理由はいくつかあります。日本は世界最大級の対外純資産(海外に持つ資産から負債を引いたもの)を持つ国であり、有事には日本の投資家が海外の資産を売って円に戻す、という見方があること。

また、低金利の円を使った「キャリー取引」が、危機のときに巻き戻されて円が買い戻されること、などです(くわしくは、ドル円の記事で解説しています)。

一方、金(ゴールド)が安全資産とされるのは、それ自体に価値が認められ、国家や企業の信用に左右されにくいからです。株式や債券は、発行した企業や国の信用が揺らげば価値を失いますが、金は「最後の拠りどころ」として、世界中で価値を保ち続けてきました。だからこそ、世界が不安に包まれると、金は買われるのです。

ただし、こうした「安全資産」の性質は絶対のものではなく、そのときの環境によって効きかたが変わる点には注意が必要です。実際、近年は「有事の円買い」が以前ほど明確には起きない場面も見られ、何が安全資産として選ばれるかは、少しずつ変化しているとも言われています。

⑥ 今どっち? — 複数の資産から地合いを読む

ニッケイちゃんの解説「じゃあ、今がリスクオンかオフか、どう見分けるの? コツは“いくつかの資産をまとめて見る”ことだよ!」

「今はリスクオンか、リスクオフか」を読むコツは、一つの資産だけでなく、複数の資産の動きをまとめて見ることです。たとえば、株が上がり、円安が進み、金利が上昇し、金が売られているなら、きれいなリスクオンの形です。逆に、株が下がり、円高が進み、金利が低下し、金が買われているなら、典型的なリスクオフです。

こうして複数の資産が同じ方向の物語を語っているとき、地合いははっきりしています。

ここで役立つのが、恐怖指数(日経VIやVIX)です。恐怖指数が低く落ち着いていればリスクオン寄り、急騰していればリスクオフ、という目安になります。株価・為替・金利・金・恐怖指数——これらをセットで眺めると、市場全体の気分が立体的に見えてきます。

ただし、すべてが教科書どおりにそろうとは限りません。資産ごとにちぐはぐな動きをするときは、市場が方向感を探っている“迷い”の局面、と読むこともできます。

もう一つ知っておきたいのが、リスクオン・リスクオフには時間の長さがある、ということです。その日だけの短期的なムードもあれば、数か月にわたって続く大きな潮流もあります。短期のリスクオフ(その日の急落)なのか、長期の地合いの転換なのかを見分けることが、慌てないために大切です。

多くの場合、一日のパニックはやがて落ち着き、相場は元の大きな流れへと戻っていきます。

⑦ 知っておきたい相場用語ミニ辞典

ニッケイちゃんの解説「最後に、ニュースでよく出てくる相場用語をまとめて覚えちゃおう。意味がわかると、解説がぐっと聞き取りやすくなるよ!」

リスクオン・リスクオフと一緒に、覚えておくと便利な相場用語をまとめます。

「地合い(じあい)」は、相場全体の雰囲気のこと。「地合いが良い」はリスクオン的な強い状態を指します。「順張り(じゅんばり)」は相場の流れに沿って売買すること、「逆張り(ぎゃくばり)」は流れに逆らって売買すること。

「押し目(おしめ)」は上昇相場で一時的に下げた場面、「戻り(もどり)」は下落相場で一時的に上げた場面を指し、「押し目買い」「戻り売り」という使い方をします。「利益確定(利確)」は持っている資産を売って利益を確定させること、「狼狽(ろうばい)売り」は急落に慌てて売ってしまうこと、「高値づかみ」は高い値段で買ってしまうことです。「織り込み済み」は、すでに材料が株価に反映されている状態。

「様子見」は、積極的に売買せず動向をうかがうこと。これらの言葉が分かると、マーケット解説の理解度が一段と上がります。

そのほか、「ボラティリティ」は値動きの大きさ、「ポジション(持ち高)」は保有している建玉のこと、「含み益・含み損」はまだ確定していない損益、「模様眺め」は様子見とほぼ同じ意味です。最初からすべてを覚えようとしなくても、ニュースで出てきたものから少しずつなじんでいけば十分です。

まとめ

リスクオン・リスクオフは、市場全体の“気分”を表す言葉です。リスクオンは投資家が強気になる「攻め」の状態で、お金が株や高金利通貨といったリスク資産に向かい、株高・円安・金利上昇が起こりやすくなります。リスクオフは不安が広がる「守り」の状態で、お金が国債・円・金といった安全資産に逃げ込み、株安・円高・金利低下・金高が起こりやすくなります。

日本株にとって、リスクオンは追い風、リスクオフは逆風です。今がどちらかを読むには、株・為替・金利・金・恐怖指数を、まとめて眺めることが有効です。この“気分”の流れをつかめば、バラバラに見えた値動きが一本の物語としてつながり、相場のニュースがぐっと読みやすくなるはずです。

そして、この記事は当ブログの入門シリーズの締めくくりです。日経平均の仕組みから始まり、株価が動く要因、暴落、恐怖指数、ドル円、市場の1日、経済指標、そしてリスクオン・リスクオフまで——一つひとつの言葉がつながって、相場という大きな絵が少しでも見えてきたなら幸いです。

よくある質問

Q. リスクオンとリスクオフの違いは何ですか?

A. リスクオンは投資家が強気になり、リスクをとって積極的に利益を狙う「攻め」の状態です。株や高金利通貨が買われ、株高・円安になりやすくなります。リスクオフは投資家が不安から資産を守ろうとする「守り」の状態で、国債・円・金が買われ、株安・円高になりやすくなります。

Q. なぜリスクオフのとき円が買われるのですか?

A. 円が「安全資産」とされているためです。日本が世界有数の対外純資産国であることや、低金利の円を使ったキャリー取引が危機時に巻き戻されて円が買い戻されることなどが背景にあります。この円高は、輸出企業を通じて日本株の重しになりやすい点に注意が必要です。

Q. 今がリスクオンかリスクオフか、どう見分ければいいですか?

A. 一つの資産だけでなく、株・為替・金利・金・恐怖指数を合わせて見るのがコツです。株高・円安・金利上昇・金安がそろえばリスクオン、株安・円高・金利低下・金高がそろえばリスクオフです。恐怖指数(日経VIやVIX)の水準も目安になります。

Q. リスクオン・リスクオフは必ず教科書どおりに動きますか?

A. いいえ。あくまで典型的なパターンであり、そのときの環境によっては、資産ごとにちぐはぐな動きをすることもあります。安全資産とされる円や金の性質も、状況によって効きかたが変わります。

一つのパターンとして頭に入れつつ、実際の値動きと照らし合わせて判断することが大切です。


※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄や投資手法を推奨するもの、または投資助言を目的としたものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。

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