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【2026年5月の日経平均まとめ】6万6329円の史上最高値更新はなぜ起きたか

2026年5月29日、5月最後の取引で日経平均株価は前日比1636円38銭高の6万6329円50銭まで急反発し、4営業日ぶりに史上最高値を更新して1か月を締めくくりました。4月に史上初めて6万円台に乗せた日本株は、5月も上昇の歩みを止めず、月間ではプラス11.88%という2桁の上昇となりました。けれども、その道のりは一本調子ではなく、「中旬までの調整」と「下旬の急騰」という二幕構成の、振れ幅の大きい1か月でした。

筆者は、かつて商品先物取引の外務員として5年間、原油などの商品市場の最前線で相場とリスク管理を見てきました。今回の5月相場は、まさに金利・原油・中東という、商品畑の人間が日々向き合ってきたテーマが主役の月でした。その視点から、5月の動きを振り返り、なぜ後半に急騰したのか、そして5月29日時点で今後をどう見るべきかを解説します。

① 5月29日・最高値更新で1か月を終える

スライド①:THE CLIMAX ― 日経平均 5月総括・最高値更新(6万6329円50銭、前日比+1636円38銭、月間+11.88%)

ニッケイちゃんの解説:「5月の最終日、日経平均が1636円も急反発して最高値更新で終わったよ! 月全体でも大きく上げた、すごい1か月だったね。」

まず事実を整理します。5月29日の日経平均株価は、前日比1636円38銭高(プラス2.53%)の6万6329円50銭で取引を終え、4営業日ぶりに史上最高値を更新しました。出発点は、4月27日につけた初の終値ベース6万円(6万0537円36銭)でしたから、1か月で6000円近く水準を切り上げたことになります。

月間の上昇率はプラス11.88%。これは2桁の大幅上昇で、東証株価指数(TOPIX)もプラス6.17%と、ともに史上最高値を更新しました。ただし、日経平均の伸びがTOPIXを大きく上回った点には、後で触れる「偏り」のサインが表れています。

いずれにせよ、4月の6万円突破が一過性ではなく、5月も上昇基調が続いたことが、この1か月で確認された形です。

② 5月の全体像 — 「中旬まで調整、下旬に急騰」の二幕構成

スライド②:THE FRAMEWORK ― 5月の二幕構成(ACT1:前半の我慢/ACT2:後半の爆発)
スライド②:THE FRAMEWORK ― 5月の二幕構成(ACT1:前半の我慢/ACT2:後半の爆発)

ニッケイちゃんの解説:「でもね、ずっと上がり続けたわけじゃないんだ。5月は『前半は我慢、後半に爆発』っていう、二幕構成だったんだよ。」

月間プラス11.88%という数字だけ見ると順風満帆に思えますが、中身は大きく二つの局面に分かれていました。前半(上旬から中旬)は、むしろ上値の重い調整局面でした。中東情勢の膠着、原油価格の高止まり、そして日米の長期金利の上昇が重しとなり、日経平均は5月20日(水)までに5日続落し、節目の6万円を一時下回る場面もありました。

ところが後半(下旬)に入ると、相場は一変します。きっかけが重なって急騰に転じ、6万5000円台、6万6000円台へと水準を駆け上がったのです。つまり5月は、「前半の我慢」を「後半の急騰」が大きく上回った月でした。

この二幕構成を頭に入れておくと、月間プラス11.88%という結果の意味が、より立体的に見えてきます。

③ 前半の重し — 中東膠着・原油高止まり・金利上昇

スライド③:ACT 1 THE WEIGHT ― 前半の三重苦(中東膠着・原油高止まり・日米長期金利上昇)
スライド③:ACT 1 THE WEIGHT ― 前半の三重苦(中東膠着・原油高止まり・日米長期金利上昇)

ニッケイちゃんの解説:「前半の足を引っぱったのは3つ。中東のこう着、原油の高止まり、そして金利の上昇。とくに金利が嫌がられたんだ。

5月前半の調整を招いた要因を、商品市場の目線で見ていきましょう。第一に、中東情勢の膠着です。米国とイランの和平交渉に目立った進展がなく、ホルムズ海峡をめぐる供給不安がくすぶり続けたことで、原油価格が高止まりしました。

原油高は、エネルギーを輸入に頼る日本にとって、コスト増と物価高の懸念に直結します。

第二に、その金利です。市場がとりわけ嫌気したのが、日米の長期金利の上昇でした。原油高によるインフレ懸念などを背景に、国内の10年債利回りは一時2.8%と29年半ぶりの高水準をつけ、米国の10年債利回りも4.67%まで上昇する場面がありました。

金利の上昇は、将来の利益を割り引いて評価する成長株(とくにハイテク株)には逆風です。商品の現場にいた感覚で言えば、原油高がインフレ→金利上昇という連鎖を呼び、それが株式の重しになる——この「原油から金利へ」の波及こそ、前半の調整の本質でした。エヌビディアの決算待ちで様子見ムードが強かったことも、上値を抑えました。

④ 転換点 — エヌビディア決算と「交渉最終段階」発言

スライド④:THE CATALYST ― 相場を反転させた2つのトリガー(エヌビディア決算+トランプ「交渉最終段階」発言)
スライド④:THE CATALYST ― 相場を反転させた2つのトリガー(エヌビディア決算+トランプ「交渉最終段階」発言)

ニッケイちゃんの解説:「流れが変わったのが5月21〜22日! 2つの大きなニュースが重なって、相場は一気に反発に転じたんだ。」

膠着していた相場が動いたのは、5月21日(木)から22日(金)にかけてです。流れを変えたのは、2つの好材料でした。

ひとつは、米エヌビディアの決算です。売上高・利益がともに市場予想を上回り、自社株買いも発表されたことで、旺盛なAI投資需要が改めて確認されました。直前まで売られていたAI・半導体関連株に、買い戻しが一気に入りました。

もうひとつは、トランプ大統領が米・イラン交渉について「最終段階にある」と発言したことです。これにより中東情勢への不安が後退し、原油価格と長期金利がそろって低下しました。前半に相場を圧迫していた「原油高・金利高」が、ここで逆回転を始めたのです。

5月22日の日経平均は6万3339円で引け、前週末比1930円高(プラス3.14%)と最高値を更新。この週の上げ幅1930円のうち、ソフトバンクグループ1銘柄で約814円、実に約42%を占めました。値がさ株が指数を押し上げる、後半相場の幕開けでした。

⑤ 下旬の急騰 — 6万5000円台、そして停戦延長合意へ

スライド⑤:ACT 2 THE SURGE ― 地政学リスク後退と急騰(5/25 6万5158円→5/27 6万6934円→5/29 6万6329円)
スライド⑤:ACT 2 THE SURGE ― 地政学リスク後退と急騰(5/25 6万5158円→5/27 6万6934円→5/29 6万6329円)

ニッケイちゃんの解説:「下旬はとにかく強かった!25日に初の6万5000円台、月末は停戦延長のニュースで急反発。ぐいぐい上げたんだ。

下旬の上昇は力強いものでした。5月25日(月)には、原油安・金利低下を追い風に、日経平均が初の6万5000円台(終値6万5158円、前日比1819円高)に乗せました。この日は、ソフトバンクグループが約7か月ぶりに上場来高値を更新。

傘下の英アームの株価上昇や、関連するAI企業の上場申請報道などが材料視されました。27日には6万6934円と、連日で最高値を更新しています。

月末にかけては、荒い値動きもありました。5月28日(木)は、米・イランの軍事行動が応酬したとの報道でリスク回避の売りが出て、6万4693円(前日比306円安)と一服。しかし翌29日(金)は、米・イランが停戦期間を60日間延長することで合意したと伝わり、買い戻しが一気に強まりました。

終値は前述の6万6329円50銭で、4営業日ぶりに最高値を更新。この最終週(5月25日〜29日)の上昇率はプラス4.72%(前週末比でおよそ2990円高)に達しました。地政学リスクの後退が、いかに強い買い材料になるかを示した1週間でした。

⑥ 商品市場の現場から — 原油安・金利低下とリスクオンの連動

スライド⑥:THE MECHANICS ― 原油と金利が支配する対称ループ(前半:中東膠着→原油高→金利上昇→株安 / 後半:停戦期待→原油安→金利低下→株高)
スライド⑥:THE MECHANICS ― 原油と金利が支配する対称ループ(前半:中東膠着→原油高→金利上昇→株安 / 後半:停戦期待→原油安→金利低下→株高)

ニッケイちゃんの解説:「ここがプロ目線の核心! 5月後半の急騰は、『原油安・金利低下→リスクオン』という連動で、きれいに説明できるんだ。」

5月の動きは、商品市場を見てきた立場からすると、非常に「筋の通った」相場でした。前半は「中東膠着→原油高→インフレ・金利上昇→株安」、後半は「停戦期待→原油安→金利低下→株高(リスクオン)」という、原油と金利を起点にした連動が、教科書のようにはっきり表れたからです。

とくに月末の停戦延長合意の報道は、商品畑の目で見ると重い意味を持ちます。停戦が延長されれば、ホルムズ海峡の正常化が近づき、原油の供給不安が和らぐ——その期待が、原油価格を、すぐ受け渡す期近だけでなく、何か月も先の期先(きさき)の限月まで押し下げる動きにつながります。期先まで下がるということは、市場が「混乱は一時的ではなく、構造的に和らぐ」と織り込み始めたサインです。

商品の現場では、目先のニュースの見出しよりも、この期先カーブの形を重視します。原油の期先が下がり始めたことは、後半の株高の地合いを、より確かなものにしたと読めるのです。

加えて、5月29日の1636円もの急反発には、前日に売り込まれた反動、すなわち売り建て(ショート)の買い戻しという需給面の力も働いています。急変時にポジションの巻き戻しが相場を増幅するのは、商品先物の現場で何度も見てきた光景です。

⑦ 過熱と偏りのリスク — NT倍率17倍、一部銘柄への集中

スライド⑦:THE WARNING ― 栄光の裏の「偏り」リスク(NT倍率17.03倍・過去最高水準、AI・半導体への集中)
スライド⑦:THE WARNING ― 栄光の裏の「偏り」リスク(NT倍率17.03倍・過去最高水準、AI・半導体への集中)

ニッケイちゃんの解説:「いいことばかりじゃないよ。実は上げの中身は、ごく一部の銘柄に偏っていたんだ。ここは要注意ポイント!

強い1か月でしたが、リスク管理の視点から見ておくべき点があります。それは、上昇が一部の値がさ株に極端に集中していたことです。日経平均とTOPIXの比率を示す「NT倍率」は、5月27日に17.03倍と過去最高水準に達しました。

これは、日経平均がTOPIXを大きく引き離して上昇したこと、すなわち少数の値がさ株(ソフトバンクグループなど)が指数を押し上げたことを意味します。

商品先物の現場感覚で言えば、これは「特定の銘柄や限月にポジションが過度に集中した状態」に似ています。集中は、上げ相場では上昇を加速させますが、ひとたび主役銘柄が崩れれば、その反動で指数全体を大きく下げる脆さも併せ持ちます。NT倍率には過去、行き過ぎたあとに平均へ戻る性質も確認されており、偏りはいつか修正される可能性があります。

月間プラス11.88%という数字の裏にある「中身の偏り」は、浮かれずに見ておきたいポイントです。なお、過熱感については、5月15日に発表されたキオクシアの好決算(純利益5544億円とほぼ倍増)など、企業業績の上方修正が予想EPSを押し上げたため、予想PERは17倍台と、株価上昇のわりに割高感が出にくかった点も付け加えておきます。

⑧ 5月29日時点の、今後の見立て

スライド⑧:THE OUTLOOK ― 未来を見極める3つのチェックポイント(停戦の持続性/金利の動向/集中の反動)
スライド⑧:THE OUTLOOK ― 未来を見極める3つのチェックポイント(停戦の持続性/金利の動向/集中の反動)

ニッケイちゃんの解説:「最後に、これからどう見るか。5月29日の時点で押さえておきたい3つの焦点を挙げるよ!」

5月29日時点で、今後を左右する焦点は3つあります。

第一に、中東情勢、とりわけ停戦の持続性です。今回合意された60日間の停戦は、あくまで合意の段階であり、揺らいだり破棄されたりすれば、再び原油高・リスクオフへ振れる可能性があります。商品の目線では、原油の期先カーブが下がり続けるかどうかが、正常化を見極めるサインになります。

第二に、金利の動向です。前半の調整が示したとおり、日米の長期金利の上昇は株式、とくにハイテク株の重しになります。インフレと金利の行方は引き続き要注意です。

第三に、ここまで見た一部銘柄への集中の反動です。NT倍率が過去最高水準にある以上、主役のAI・半導体株が一服すれば、指数が大きく揺れる場面も想定しておくべきでしょう。

総じて、5月末の最高値更新は、停戦期待とAI・半導体という二つのエンジンに支えられたものです。この二つが続くかぎり強気の地合いは保たれやすい一方、どちらかが崩れれば反動も大きい——そんな「強いが、もろさも抱えた」高値圏に入った、というのが5月29日時点の見立てです。

まとめ

2026年5月29日、日経平均は1636円38銭高の6万6329円50銭で4営業日ぶりに最高値を更新し、月間プラス11.88%の大幅高で5月を終えました。5月は「中旬までの調整」と「下旬の急騰」の二幕構成で、前半は中東膠着・原油高止まり・日米金利上昇が重しとなり一時6万円を割れたものの、後半はエヌビディアの好決算と米・イラン交渉の前進期待を起点に、原油安・金利低下からリスクオンへ転じ、6万5000円台、6万6000円台へと駆け上がりました。商品市場の目線で見れば、「原油と金利」を起点にした連動が筋道立って表れた1か月でした。

ただし、NT倍率17倍超という一部銘柄への極端な集中には、反動のリスクもひそんでいます。今後は、停戦の持続性、金利、そして集中の反動という3つを冷静に見極めることが、この高値圏と付き合う鍵になります。

よくある質問

Q. 5月29日の日経平均はいくらでしたか?

A. 終値で6万6329円50銭、前日比1636円38銭高(プラス2.53%)の急反発で、4営業日ぶりに史上最高値を更新しました。米国とイランが停戦期間を60日間延長することで合意したとの報道が、買い戻しを促しました。

Q. 5月の日経平均は月間でどれくらい上がりましたか?

A. 月間でプラス11.88%の2桁上昇でした。TOPIXもプラス6.17%上昇し、ともに史上最高値を更新しています。ただし日経平均の伸びがTOPIXを大きく上回り、一部の値がさ株への集中が際立ちました。

Q. 5月前半はなぜ調整したのですか?

A. 中東情勢の膠着による原油の高止まり、そして日米の長期金利の上昇が重しになったためです。国内10年債利回りは一時2.8%と29年半ぶりの高水準をつけ、成長株の逆風となり、日経平均は一時6万円を下回りました。

Q. 5月後半に急騰したのはなぜですか?

A. 米エヌビディアの好決算でAI・半導体株に買い戻しが入ったことと、米・イラン交渉の前進期待から原油価格と金利が低下したことが重なったためです。「原油安・金利低下→リスクオン」という連動が、下旬の急騰を生みました。

※本記事は2026年5月29日時点の情報に基づくものであり、その後の情勢により状況は変化します。情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄や投資手法を推奨するもの、または投資助言を目的としたものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。

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