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WTI原油が90ドル台に — 原油高で日本株はどう動くか【2026年10月】

ホルムズ海峡の緊張が再び相場の主役に戻ってきた。9月29日には海峡内で3隻のタンカーが不明な弾薬で攻撃されたと伝えられ、イランは「石油販売が保証されなければ中東のエネルギーインフラを攻撃する」と警告。米軍のイラク撤退完了もイラン支持勢力の活性化懸念を呼び、原油と日本株の双方が神経質な値動きを続けている。

今回は、この「ホルムズ再燃」を、実測価格と輸入統計の両面から、投資初心者にも分かる形でほどいてみたい。

今、何が起きているか

REWFの分析を並べると、直近の中東情勢は「ホルムズ海峡の封鎖・攻撃報道」と「米軍のイラク撤退」という二つの流れで語られている。9月29日のタンカー攻撃(ロシア国営メディア)に加え、イスラエル行きのUAE機が緊急信号を発したという報道(日経)、さらにイランが「石油販売が保証されなければ中東のエネルギーインフラを攻撃する」と警告した(イラン国営メディア)ことで、海峡通航の安全性そのものへの疑念が積み上がっている。

もう一つの軸が米国のイラク撤退だ。米国防総省はイラクからの米軍撤退を正式に完了したと発表し(Guardian)、退役軍人のH.R.マクマスター氏は「イランを強化し、イラクをISISに対して脆弱にする」と警告している(NPR)。これらはイランの地域影響力を高める方向に働き、ホルムズ海峡というエネルギーの心臓部の不安定化と表裏一体でとらえる必要がある。

供給側では、OPEC+の主要生産国が11月の原油生産割当を据え置く見込みと伝えられている一方で、湾岸諸国の生産・輸出量は海峡の交通障害の影響で減少しているとされる(国営メディア)。増産で緩和されない中で通航リスクだけが乗る、という難しい構図だ。

価格の実際 — WTI 90ドル台に再突入

9月30日時点の実測は以下のとおり。WTI原油は90.33ドル(前日比+0.95ドル、+1.06%)、ブレント原油は97.92ドル(前日比-4.67ドル、-4.55%)。週次ではWTIが-5.69%、ブレントが-2.41%と、日中は反発したものの週で見れば下げている、というのが実態だ。

日経平均は9月29日終値で65,481.27円(前日比-396.35円、-0.60%)、ただし週次では+3.13%。ドル円は157.37円(週次+0.87%)で、じわりと円安方向に振れている。

  • WTI原油: 90.33ドル(週次-5.69%)
  • ブレント原油: 97.92ドル(週次-2.41%)
  • 日経平均: 65,481.27円(週次+3.13%)
  • ドル円: 157.37円(週次+0.87%)

ポイントは、ホルムズの見出しが飛び交うわりに、原油の週次は下げているという点だ。日中はニュースで跳ねるが、週で均すと「90ドル台に定着しつつも、100ドルには届いていない」水準にとどまる。中東緊迫化の前、WTIはおおむね50〜70ドルのレンジで推移していたことを踏まえると、現在の90ドル台は明確にプレミアムを乗せた水準であり、まだ「山を越えた」とは言えない。

なぜ日本株に効くのか

原油高は日本にとって輸入コストの増加を意味する。REWFの分析でも「原油価格が再び上昇しており、石油・化学業界に強い圧力がかかっている」(日経)と指摘されており、素材・電力・運輸のコスト増を通じて幅広い企業業績を圧迫する経路が働く。一方で、円安が同時に進めば輸出企業や訪日インバウンド関連には追い風になる。

ホルムズ発の原油高と円安が同時に来る局面では、指数はどちらの力が勝つかで日々の勝敗が入れ替わる。詳しくは原油と日経の逆相関の解説を参照してほしい。

加えて、米軍のイラク撤退がイランの影響力を強める方向に働くとすれば、ホルムズ海峡での偶発的衝突リスクは長期化する。単発ニュースというより、当面は相場の「地の色」として意識せざるを得ない。この点はWTI原油はなぜ中東情勢で上がるのかで背景を整理している。

大きな方向性 — 30年ぶりの構造転換の中で、原油と調達構造を読む

ここからが本記事の核心である。ニュースの雰囲気で相場を語るのではなく、実測の水準と構造変化から大局を描きたい。

①価格水準の歴史レンジで判断する。WTIは90.33ドル。中東緊迫化前のレンジ(50〜70ドル)に比べれば依然プレミアムを乗せた水準で、山は越えていない。

ただし週次では-5.69%と冷え、100ドルの大台には届いていない。「高止まりだが加速はしていない」というのが、いま原油が発しているシグナルだ。

②金利はインフレの証拠、利上げは通貨防衛の後退戦として読む。ゼロ金利政策の終了は約30年ぶりの構造転換の入口であり、正常化の目線は1990年代以来の水準(1%台半ば)にある。この30年ぶりの大転換の入口に立っている、という視座を土台に置きたい。

しかもドル円は157円台で、週次でもさらに円安に振れた。実質金利(政策金利−CPI)がマイナスのうちは、利上げしても円安圧力は続くのが自然で、「利上げしたのに円安」は矛盾ではなく利上げが足りていない証拠と読める。防衛ラインの目安は、実質金利ゼロ近傍(現行インフレなら名目3%前後、またはインフレ低下との中間点)である。

③調達構造の転換 — 中東依存度が急低下、米国シェアが急拡大。ここが今回いちばん強調したい柱だ。石油統計の実測を追うと、原油輸入の中東依存度は2025年6月の97.7%から、2026年7月には58.9%へ大きく低下している。

同期間で米国シェアは0.5%から37.0%へ跳ね上がった。月次で並べると次のとおり(中東依存度%/米国シェア%):

  • 2025年6月: 97.7% / 0.5%
  • 2025年7月: 87.6% / 9.4%
  • 2026年4月: 87.6% / 7.7%
  • 2026年5月: 73.9% / 22.4%
  • 2026年6月: 62.3% / 32.3%
  • 2026年7月: 58.9% / 37.0%

ホルムズ海峡のニュースに一喜一憂しがちだが、実は日本の調達構造は静かに大転換の途上にある。中東以外にシフトすることで中東依存リスクは遠のく一方、米国からの輸送距離やコスト面の負担は増しやすく、輸入物価を経由して構造的にインフレ気味の着地点をマーケットが探る流れになる。ホルムズが多少荒れても日本の供給が即座に途絶えるわけではないが、そのぶん「じわりとしたコスト高」が続きやすい構図だ。

地政学リスクとはを合わせて読むと、この構造変化の意味がつかみやすいはずだ。

④名目成長レジームの循環で読む。物価上昇 → 企業業績の名目かさ上げ(日経平均の65,000円台という水準はその帰結の側面が強い) → 人の移動の活発化 → 賃金上昇の定着 → 為替は円安容認(輸出拡大とインバウンド底上げで着地)、という循環が回っているうちはレジームは持続する、とみられる。受益は輸出・インバウンド・価格転嫁力のある企業。

反対に、この回転が止まる兆候は、実質賃金の失速と、円安が「容認」から「防衛」へ切り替わる水準への接近である。

現在のレジームを一言で規定するなら、「インフレ懸念が後退するまで、リスクオンで適宜調整を入れながらレンジを踏み上げていく」局面と読める。レジームの転換条件は、WTIが90ドル台に定着したまま100ドル台へ踏み上がること — そのときは原油発のインフレ再燃が主軸となり、輸入コストと金利の両面から株の頭が重くなる。逆にWTIが70ドル台へ戻れば、中東緊迫化前のレンジに接近したことになり、「山は越えた」と読み直す余地が出てくる。

投資家が見るべきポイント

  • WTIが90ドル台で定着するか、100ドル台へ踏み上がるか。100ドル定着はレジーム転換のサイン
  • ドル円157円台の先の水準感。円安の「容認」が「防衛」に切り替わる転換点に注意
  • 原油輸入の中東依存度と米国シェアの月次推移。7月の58.9%/37.0%からさらに動くか
  • OPEC+の11月生産割当が本当に据え置きで確定するか、増産に転じるか
  • ホルムズ海峡での偶発的衝突・タンカー攻撃の頻度

まとめ

ホルムズ海峡の見出しは強烈だが、原油は週次で-5.69%と冷えており、100ドルには届いていない。日経平均は65,481.27円と週次+3.13%で踏ん張っている。同時に、日本の原油調達構造は中東依存度97.7%(2025年6月)から58.9%(2026年7月)へ、米国シェアは0.5%から37.0%へと静かに大転換している。

目先のニュースに揺さぶられつつも、大局は「30年ぶりの構造転換の入口で、名目成長レジームが回っているうちはレンジを踏み上げる」という読みで整理できる。転換のシグナルはWTI100ドル定着、あるいは円安の「防衛」局面入りである。

よくある質問

Q1. ホルムズ海峡のニュースで、なぜ原油はもっと上がらないのですか?

WTIは90.33ドル、週次-5.69%で、日中は跳ねても週次では下げています。OPEC+が11月の生産割当を据え置く見込みで供給が急変しないこと、そして日本を含む消費国が米国等への調達シフトを進めていること(米国シェアは2026年7月に37.0%)が、心理面のパニックを緩和しているとみられます。

Q2. 中東依存度が下がっているなら、日本は安心してよいのですか?

中東依存リスクは確かに遠のいています。ただし米国など長距離調達に振れるほど輸送コストは上がりやすく、輸入物価経由でインフレ気味の着地点を探る展開になりがちです。「短期リスク低下、中期コスト高」と捉えるのが妥当とみられます。

Q3. 日経平均が65,000円台にいる根拠はどう考えればよいですか?

物価上昇が企業の売上・利益を名目でかさ上げしていることの帰結という側面が強いとみられます。ドル円157.37円の円安が輸出企業とインバウンドを下支えする一方、原油高と金利上昇が頭を抑える構図で、指数は上下しつつもレジームが崩れるまで踏み上がりやすい地合いです。

Q4. 何を見れば「レジームが変わった」と判断できますか?

第一にWTIが100ドル台に定着すること。原油発のインフレ再燃が主軸に切り替わるサインとみられます。第二にドル円で、円安が「容認」から「防衛」に変わる水準(実質金利ゼロ近傍を意識した名目金利水準)への接近です。

この二つは対で見るのが実務的です。

本記事はAIによる情報提供です。投資助言ではありません。

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